ブックタイトルtakenakadaikudougukan-news_Vol41

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寧波は、中国浙江省にあり、上海から約300㎞、杭州から約150kmに位置し、人口820万人を擁しています。海のシルクロードの始発港のひとつで、かつて勘合貿易の時代には美術品や陶磁器、茶道具などが日本へ輸出されていました。また臨済宗を伝えた栄西禅師が初めて中国に足を踏み入れた地としても知られ、日本と馴染みが深い都市です。悠久の歴史を持ち、典型的な「江南水郷」と呼ばれる水都であることから、国の「中国歴史文化名城」に指定されています。様々な景勝地がありますが、その中の一つ「霊山」に点在するのが保国寺古建築博物館です。当館は中国で第1回目に指定された国の建築文化財を有する国家二級博物館です。敷地面積は1.3㌶あり、境内には9世紀から20世紀にかけて時代の異なる古建築が100軒余り点在しており、千年を超える歴史を伝える名所となっています。最も重要な建物は、宋代(1013年)に再建された大殿(国指定文化財)です。度重なる修繕を経て、現存の大殿は間口21.6m、奥行19.85mになっていますが、中央の三間四方の木造構造は宋代の遺構であることがわかっています。古い時代の建築遺構が少ない江南地域において、最も古い貴重な木造建築として知られています。北宋の建築技術書『営造法式』(1103年)の分類によれば、保国寺大殿は「庁堂式」に該当し、その代表例とされています。大殿の内部には宋代の典型的な組物や、華麗な藻井(天井)、瓜稜柱(抱合せ柱)を有することで知られており、国内外の建築史学の研究者や学生たちにとっては、聖地とも言える場所でもあります。禅宗の五山制度も、まさにこの寧波から日本へ伝えられました。日本の「五山十刹図」(大乗寺蔵、重要文化財)に描かれた南宋五山は寧波に2寺、近くの杭州に3寺ありましたが、残念ながら、5寺すべてで南宋時代の遺構は残っていません。そのため、五山ではありませんが、北宋時代の遺構である保国寺大殿は、南宋五山制度の原型を知ることのできる遺構として貴重です。以上のように、保国寺古建築博物館は宋代の建物を中心としつつ、レンガ、石、木など古建築に使用された部材や模型も合わせて展示しており、年間30万人以上の入館者数を有する中規模の専門博物館となっています。遺構の他にも、古建築や伝統文化に関する様々な展覧会をすると同時に、学術シンポジウムやワークショップなどのイベントも定期的に開催しています。中国における建築学の名門として知られる清華大学、同済大学、浙江大学や日本の元興寺文化財研究所などの研究機関と長年に渡り協力関係を結んでおり、建築史の研究と教育の拠点としての役割を担っています。COLUMN特別展 哲匠之手:中日建築交流両千年技藝会期 2019年9月12日(木)~11月11日(月)会場 保国寺古建築博物館(中国・寧波市)予 定保国寺の古建築群 梅の名所としても有名大殿の内観 見事な組物と天井装飾寧波上海世界の建築博物館紹介千年を超える仏寺の歴史を伝える保国寺古建築博物館(中国・寧波市)張雅?8