ブックタイトルtakenakadaikudougukan-news_Vol41

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takenakadaikudougukan-news_Vol41

日本伝統工芸を取り巻く状況訪日外国人観光客の数が激増するようになったこともあり、日本のものづくりは今、世界中から注目を集めています。それにもかかわらず、私たち日本人の間では伝統工芸品の価値が十分に認められているとはいえません。需要の減少に伴い、長い歴史を持つ職人工房が後継者不足によって途絶えてしまったという話もよく耳にします。古来より日本人は「もったいない精神」のもと、古くなったり傷んだりしたものも簡単に捨てずに最後まで活かしきるという文化を大切にしてきました。そうした文化を支えてきたのは名もない職人たちであり、日々の暮らしに必要な道具類から美しい美術品まで、彼らの丹精込めた仕事に人々は敬意を払っていました。ところが第二次大戦後の日本では、経済復興を急ぐためもあって、それまでの手間暇かかる暮らしよりも大量生産品を使い捨てにする便利な生活が奨励されるようになりました。その結果、衣食住すべての生活様式において急速に西洋化が進みました。また、核家族化が進み、世代から世代へと伝承によって地域の歴史や風習を語り継ぐことも難しくなってきました。さらに、近年のインターネットを始めとする新しいビジネススタイルの普及により、作り手の顔が見える対面販売が減少し、天然素材を使った手作業の工芸品はますます居場所を失っているように見えます。WANOBIの活動こうした危機的状況の中、日本の優れた伝統工芸のいくつかを海外に紹介するウェブサイトを英語で作り世界に発信していくために、WANOBIは設立されました。2017年春に完成したウェブサイトjapan-artisans.comでは、京都・奈良・兵庫から京きょうぬい繍・染織・茶ちゃせん筅・七宝焼・着物・漆器、和歌山県龍神村から和紙、岡山から日本庭園・備前焼、といった9名の伝統工芸作家を英語でご紹介しています。その作品はもちろんのこと、制作の工程や文化的背景、作家の人となりまで詳しくお伝えする内容になっています。作家の多くは60代後半の方たちで、「外国の方にも自分の作品を見てもらいたい」という想いからプロジェクトへ参加されています。英語にこだわったのは、世界中のほとんどの人々は英語母語者でなくともインターネットにおいてはまず英語で検索するからです。つまり英語で発信すれば数十億もの人の目に留まる可能性があり、海外の方の中から伝統工芸に関心を持って将来的に継承していきたいという人たちが現れてくるのかもしれません。同時に、作品の価値を正当に評価してくれる世界中の人々に販路を拡大することも可能になります。そして外国から評価されることにより、日本人自身にも伝統文化の価値を再発見してほしいというのがWANOBIの願いでもあります。そのためには、工芸品をただ並べて売るのではなく、誰FEATURE茶室に見る和の美~新たなる「草」を拓く~一般社団法人WANOBI和の美代表理事 三さんぐう宮優子鈴木一弘(染織家) 谷村丹後(茶筅師) 小出尚永(陶芸家)6