ブックタイトルtakenakadaikudougukan-news_Vol41

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概要

takenakadaikudougukan-news_Vol41

ね。この新様式の建築は当時の建築が残っていないので何ともいえませんが、古代の建物より小さい部材で構成されています。組物はその様子をよくみせています。柱が細くなると他の部材も小さくなるので、それを加工するための道具、例えばノミ、カンナ、ノコギリなどが発達し、複雑かつ精度の高い継手・仕口加工が可能となったのでしょう。では、日本はなぜ精度の高さを求めていくのか、ということですが、そうですね、結局民族性なのでしょうか(笑)。組物について組物とは。組物は斗ときょう?ともいい、軒や屋根の荷重を柱に伝える機能を持つ一群の部材のことです。斗?という漢字でもわかるのですが、基本的には立方体状の「斗ます」と角材の「肘ひじき木」(これを中国では「?きょう」という)という二つの部材を組み合わせてつくられます。役割としては先ほどいいましたように、屋根の荷重を軒を経由して柱に安全に伝える構造材であると同時に、屋根のすぐ下にあって、装飾的効果が大きい部分でもあるので、意匠材としても常に意識されてきた部分です。組物は中国で発達したものが飛鳥時代に寺院建築とともに日本に伝わり、定着します。斗と肘木の組み合わせ方によって、舟ふなひじき肘木、大だいとひじき斗肘木、平ひらみつど三斗、出でみつど三斗、出でぐみ組(一ひとてさき手先)、二ふたてさき手先、三みてさき手先などがあります。〇手先というのは、軒の出を深く確保するための工夫でして、柱から外側に、そうですね、簡単にいうと、建物の本体から外側に斗肘木を持ち出す数で、出組(一手先)、二手先、三手先といい、持ち出せば出す程、深い軒先になるんです。本堂などの上級建築は三手先組物を使う場合が多いのですが、例外的に四手先以上もあります。昨年すごい建物に出会いました。佐渡にある蓮華峰寺の八祖堂(1661-1750年)という建物で、五手先でした(P.2の写真)。余談ですが、斗?自体をいうときは組物と呼ばず、斗?と私は呼ぶようにしています。軒の支え方は組物でないと駄目でしょうか。なにしろ木造建築ですので、建物を雨風から守るために軒を深くつくります。古代の法隆寺金堂や唐招提寺金堂の軒先は外側の柱から4.4mにもなります。実は、この軒の支え方、おもしろいなと思っています。木造建築があるアジアでみると、斗?で軒を支えるほかに方ほおづえ杖などを使う方法があります。双方を単純に比較することはできませんが、たとえばネパールのカトマンズ地方ですが、王宮や寺院などの建築の軒を方杖で支えています。軒先と軸部を斜めの一本材で結ぶと三角形になり、部材の断面を大きくすれば、断面欠損がないので強度面からみると斗?より方杖のほうが有利です。加工手間もそれほどかからない。一番合理的な軒を支える方法です。しかし、中国、韓国、日本、いわゆる中国系の寺院建築、日本では神社建築もそうですが、多くは断面欠損があるので不利であるにも関わらず、斗と肘木の部材を組み合わせてつくる手法を選択してきています。なぜそうなのかいろいろ考えてみるカトマンズ寺院(ネパール)c金王稙3