ブックタイトルtakenakadaikudougukan-news_Vol41

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takenakadaikudougukan-news_Vol41

豊かな自然に恵まれた日本の建物の多くは木造です。古民家にいけば大きな梁が、社寺にいけば立派な柱が目を引きます。さらに社寺境内の本殿や本堂・金堂などと呼ばれる建物の軒下を見上げてみると、柱の上に組くみもの物と呼ばれている複雑な木組を見ることができます。木で一体どのように組み上げているのでしょうか。今回は、文化財修理の第一線で活躍している窪くぼでら寺茂氏に長年の経験から建築において木を組む意味や組物についてお話を伺いました。継手・仕口について木と木を組み合わせることを「木組」といいますが、そもそもなぜ木と木を組む必要があるのですか。日本の木造建築のほとんどは、垂直材の柱を立てて、それを横おうかざい架材の桁けたや梁などでつなぐ、いわゆる軸じくぐみ組構造です。軸じくぶ部を組んだ後、桁に垂たるき木を打って軒を架けて屋根をつくります。そこで、ある程度、広い空間をつくろうとすると、軸組には長い部材が必要になります。特に横架材は長くなりますね。その部材は、木と木を継がない一丁材を使うのが最も強度上は良いのですが、使える木材の長さには限度があって、必要な長さを確保しようとすると、木と木をつなぐほかないのです。村田健一氏も著書『伝統木造建築を読み解く』(学芸出版社、2006)で書いていますが、良質の木材が多かった古代でさえ建築に使える木の最大の長さは10メートルが限度でした。先ほど「木組」という言葉がでましたが、建築では木と木を組み合わせることを継つぎて手・仕しぐち口といいます。継手は材を長さ方向につなぐ場合、仕口は角度をもって材と材を組む場合の用語です。この継手・仕口の種類はかなりの数にのぼります。構造面を考慮して、基本的には材と材を、釘を使わずにぴったり組み合わせることを目的とする場合が多いです。日本の継手・仕口は、同じ東アジアの中国や韓国に比べると、かなり複雑で精度が高いものが多いのはなぜですか。継手・仕口に限らず、木工事全体にいえると思うのですが、加工精度の問題は木造建築の工法の発展と、それに伴う大工道具の発達が関係していると思います。法隆寺金堂(7世紀)や唐招提寺金堂(8世紀後半)などの古代建築は、大工道具がまだ未発達で、当時の部材をみると、大体チョウナとヤリガンナぐらいしか使っていないので、継手・仕口もざっくりしていて精度もそれほど高くない。それが鎌倉時代、12世紀になると、大陸から禅ぜんしゅうよう宗様という新しい建築技術が入ってくることで変わっていきますFEATURE蓮華峰寺八祖堂(1661-1750年)c窪寺茂〔特集〕木を組む軒を支える組物のあれこれ2