ブックタイトルtakenakadaikudougukan-news_Vol40

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概要

takenakadaikudougukan-news_Vol40

ますよ。水受け部分の組み立ては全部、足場のある下の方で行います。ここを1枚組んだら今度は回して反対側を組んで、次は90度のところ、という様に回しながら組んでいくんですね。小さな水車だったら端から順に組むこともできますが、大きいのでそうすると絶対に途中で重くて回せなくなってしまいます。だいたい直径5?6mの水輪でもバランスを見て回しながら組み立てます。しかも、あらかじめ各パーツの重さを全部量っておいて、全体のバランスを考えて組み立てます。軽い所に重い物をつけて、重い所に軽い物をつけて、バランスよく配置していくんです。でないと水車は回らなくなってしまうんですね。一ヶ所だけが重いと、起き上がりこぼしの様になってしまう。例えば羽根板1枚で重さが500gから1kg違うんですね。だからそれをうまく配置しないと。バランスの調整は大きくなればなるほど細かくやらないといけません。この水車の重さはだいたい23tぐらいかな。バランスを取っていれば、直径18mの水車でも手で軽く回ります。今回の組み立てでは意外な苦労もありました。水路の上に水が溜まってるんですが、今年はめちゃくちゃ暑かったから、カラスが水浴びに来るんです。バッチャバチャやるんですね。下はたまったもんじゃない。だからパチンコで小石を飛ばして追い払うんですが、カラスも糞をしながら逃げて行くんです。もうしょっちゅう水浴びに来ました。地元の方と共に今回の修理に際しては、地元の方が様々なイベントを企画されたそうですね。地元の関係者の方が企画されて、水車の部材を廃材にして捨てるのはもったいないので、それで何かワークショップをして、それと並行して水車の勉強会をやれないか、というお話がありました。先日はワークショップを開いて、小学生に水車の解体材でコースターや鉛筆立てを作ってもらいました。簡単に、半日で作れますからね。解体材が25年経っていますから、生徒にはできた作品に25年後の自分へのメッセージを書かせたんですよ。「三十何歳の私へ」みたいにいっぱい書いてくれていました。それとは別の企画で、新しく作った羽根板の裏に名前やメッセージを書いてもらいました。市民の方たちにですね。5日間で128枚、それを役所の人が全部写真に撮っておられたのですが、神社の絵馬のようにいろんなことが書かれていました。今回の水車にはその羽根板を取り付けているんです。この水車も、そうした地元の方に愛着を持って使っていただければ、水車大工冥利に尽きますね。予 定企画展 水車大工(仮)会期 2019年3月30日(土)?5月12日(日)会場 竹中大工道具館1Fホール羽根板には市民からのメッセージが書かれている修理完了5