ブックタイトルtakenakadaikudougukan-news_Vol40

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概要

takenakadaikudougukan-news_Vol40

FEATUREるときと現寸を描くときと、同じ定規を使うのが一番確実ですからね。水輪の外側から、部材の位置が全部描き込んでありますから、そこに墨指を当てて描いていくわけです。特に気を付ける点はありますか。改修は日の脚の頂点と輪板の外周を合せなければいけないから、そこが一番苦労する所ですね。この水車は輪板だけでも32枚ありますから、仮に1枚が1分違うだけでも円周全体では3寸5分ほども違ってしまいます。また、部材に墨付けをする人が二人いたら、私はその人ごとに尺を作ります。職人を見て、この人は墨の内側で部材を切る、この人は墨の中心で、この人は外側で、という見極めをしないといけないんですね。同じ尺で作っても、墨の外側と内側が違うだけで、32枚つなげば大きな差になってしまう。墨サシの当て方ひとつで寸法が違ってしまうんですね。挿し合わせ、仮組みが出来ないので、そこら辺の見極めをするのが棟梁の仕事になるんです。特に大きい水車だと誤差が大きく出ますから、大きい水車をやるのは勉強になるんですね。小さい水車なら誤差はあまり分りせん。例えば直径4mぐらいなら墨一つ間違えても大した差は無いんですよ。水輪の部材によっては、刻みながらも水ゴザをかけておいて、刻みが終わった後も水の中に沈めておきます。また現場に部材を運んでからも水に沈めて保管します。そうして木が柔らかくなったところで水輪の組み立てを行います。組み立て今回の組み立てには多くの職人さんに参加してもらいました。現地の、大分の若手の大工さんを呼んできたんです。少しでも水車を経験してもらって、いつか思い出す時が来るかも知れませんので。部材同士はどの様に接合されていますか。この水車の構造部分は全部ボルト接合です。また輪板の継手は4枚矧は ぎの蟻あり継つぎです。羽根板などを止めるのは本来は和釘を使うんですが、和釘はめちゃくちゃ高い。水車が出来るぐらいの金額が釘だけにかかってしまいます。一時期は役所の指示でステンレス釘を使っていましたが、これは木には合わないんですね。ステンレスですと木のところがすぐ腐って抜けてしまうんですよ。ビスもダメです。水車の場合はビスの螺らせん旋に水がしみこんで、そこが腐って抜けてしまいます。だから鉄釘がベストです。この水車が25年持った要因の一つは鉄釘を使ったことです。鉄釘は錆によって木材に食いつきますから強いんですね。それも、口に入れて、唾を付けて打ち込みます。釘の頭を持って口の中に入れるでしょ、出すときは必ず尖端から出すんです。口の中で、舌で釘の方向転換をするんです。釘を打ってるときに、口の中で次の先端を出してる訳です。インチ半の長さの釘なら、がばっと口の中に入れてもどんどん出すことができ輪板の詳細輪板に羽根板を取り付けているところ4