ブックタイトルtakenakadaikudougukan-news_Vol39

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概要

takenakadaikudougukan-news_Vol39

FEATUREていますし、小葉が大きくて丈夫なためです。屋根葺きには、小葉をばらばらに切り離してパネルをつくる方法が一般的です。サゴヤシの例では、葉軸から切り離した小葉を長さ2mほどの心材をはさんで折り返し、葉の半分が重なるようにして縫います。熟練した人なら(つまり村人なら誰でも)1日に50枚はつれます。1棟に300?600枚のパネルで葺けるので、およそ10日分です。サゴヤシならこれで5?10年はもつのです。サゴヤシに代表される羽状葉は一般に小葉を切り取ってパネルにしますが、細長いココヤシの場合は、葉の細くなった先端部分を落として長さ4mほどに切りそろえ、葉軸をパネルの軸木にみたてて小葉をすべて逆向けにして使います。そして、垂木に葉軸ごと結びつけるのですが、小葉の隙間があいたままなので、葉軸の間隔を密にならべ、急勾配にしておかないと雨が漏るのです。ロンタルヤシのような掌状葉でも小葉を切り離してしまえばパネル化の作業の基本は変わりません。パネルをつくるには、まず、心材の先端に切れ目をいれ、一番目の小葉をこの切れ目に差し込んで折り返します。このとき葉の裏面が表に向くようにします。そして、最初の小葉にあらたな葉を半分ずつ重ね、追加するたびに上下を縫いとめます。パネルの終端まですすんだら、裏返してふたたび2枚ずつ縫いながら最初の葉までもどります。ロンタルの葉をまるまる1本分使って長さ1.5mほどのパネルができあがります。ヤシの樹皮を屋根に葺くこともあります。サトウヤシの樹皮を覆う黒い繊維をこの地域で一般にイジュックといい、最上級の屋根葺き材とされています。スマトラ島のカロ・バタックでは、屋根の垂木に割り竹を密に括り付け、そのうえに採取した状態のままのイジュックを葺きます。イジュックは、太い枝状の外側の繊維を表に向け、根元側を上にして半分ずつ重ねながら敷きならべ、上から竹で押さえて固定します。傷んだ部分の補修を繰り返して、これで60年近くもつといいます。竹の屋根竹の種類はきわめて多く、分類も複雑ですが、村の生活ではきちんと用途で竹を分類して使っています。一般的には仮設建物の建材になるような肉厚の竹、割り裂いてスノコに加工したり、表皮を利用する肉薄の竹、垂木などに使う細い竹、の3、4種を区別して使っています。建材としては仮設以外ではあまり使われることがなく、屋根材としても竹を恒久的な屋根材に使う例は限られています。スラウェシ島のサダン・トラジャがその代表例といえます。トラジャの家は船のように反り上がる屋根が有名ですが、この屋根形態を実現させているのが高度に発達した竹葺きの技術なのです。半割にした竹の端を割竹の心材で貫きとおして一連の竹暖簾をつくり、それを凹凸に重ねサダン・トラジャ(スラウェシ島南部)採取したままのイジュック(カロ・バタック)サゴヤシの小葉を葉軸から切り離し、竹を心材に、トウなどで縛る(ボルネオ島)4