ブックタイトルtakenakadaikudougukan-news_Vol39

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概要

takenakadaikudougukan-news_Vol39

す。チガヤひとつとっても実に多様な技術があるもので、その発想の豊かさに驚かされます。チガヤの屋根チガヤは、日本の茅葺き屋根で用いられるススキやアシなどとおなじイネ科の多年草ですが、草丈はススキとくらべてもずっと低く、か細いのが特徴です。茅葺き屋根は世界各地に見られます。葺き方には、茅の根本を下に向けて葺く「順じゅんぶ葺き」と穂先を下にして葺く「逆さかぶ葺き」があります。日本では順葺きが一般的ですが、他は一般に逆葺きで、インドネシアも逆葺きです。薄く葺けるので、自由な造形の屋根に適した工法といえます。チガヤを固定するには二つの工法があります。ひとつは、出来上がった屋根構造にチガヤを束にして順次固定してゆく方法です。もうひとつは、束ねたチガヤを連ねてパネルをつくり、それを屋根に載せる方法です。インドネシアではほとんどがこのやり方です。インドネシアの東部のスンバ島のチガヤ屋根にはパネル式とは少し異なった葺き方をします。あらかじめチガヤを6cmほどの太さに束ね、根元をロンタルヤシの葉脈の紐で縛っておきます。枝や堅い灌木、割竹などの先端を尖らせた40cm?1m程度の串でチガヤの束を串刺しにして、垂木にわたした横木に串ごと括りつけます。いわば即席のパネルをつくって屋根を葺くのです。屋根の耐久性は、屋根の勾配や葺き厚によって変わりますが、スンバ島の葺き方で15?20年といわれています。ティモール島では伝統的な3重重ねで、40年近くもったそうです。葺き材の世評では、ヤシ(サゴヤシが最上位)、チガヤ、イジュック(サトウヤシの樹皮の繊維)の順に耐久性が高いといわれます。古い立派な家屋の屋根が得てしてチガヤやイジュックで葺かれているのは、多くは集落の立地が山間部にあることと作業効率に因るのでしょう。つぎにパネルをつくって葺く方法です。ロンボック島では、長さ2mほどの小竹2本でチガヤのパネルをつくります。まず小竹の節元一カ所をのこして3つに割り、割った先を三つ編みの要領でチガヤの束の根先側を編み込んでゆきます。最後に、3つの竹片を結び合せてパネルをつくります。このパネルを、グバンヤシの小葉の葉脈部分を使って屋根の垂木にじかに固定します。フローレス島西部のマンガライの家屋は10数家族が共同で生活する蜂ほうか窩状の大きな高床建築で、長さ10mにも達するチガヤのロール状のパネルをつくります。心材は半割にしたトウで、そのまわりにチガヤの根先側3分の1ほどを折り返し、トウの紐で縫ってパネルに仕上げます。これを屋根の骨組みに反時計回りにぐるぐるとまきつけて屋根を葺きます。ヤシの屋根ヤシ科の種類は多く、3000種以上もあるといわれます。しかし、なんでも屋根葺き材に適するわけではなく、土地の生態、葉の強さや形に応じて選ばれます。ヤシの葉では広い範囲で標準的な屋根材としてサゴヤシが利用されます。食用にサゴ澱粉を採取する目的で集約的に栽培されスンバ島のチガヤ葺きマンガライの慣習家屋(フローレス島)3